前夜

ついに明日になりました。今からもう胸がドキドキしています。ほたるの星がやっと入荷されていたので前夜祭と称し購入し鑑賞していました。この作品は原作のほうを先に読んでいたのですがそれを踏まえて例えるならば原作は”ごはん”映画は”パン”という印象です。原作は人間としての成長や交流、登場人物の背景なんかがしっかり描かれていて人間臭さを持った質感があったのですが映画のほうはそういうところはあっさりとしていましたね。また、原作では周囲のキャラクターもとても存在感があり、重要な働きを担っています。映画の場合には時間の制約上この辺はしょうがないのでしょうが、個人的にはその分、教師としての成長と比加里が成長し明るくなっていくところ、この二人の成長をもっとしっかり描いてもらいたかったです。あと、原作にあった比加里がお母さんから聞いた物語を皆に発表する話が無かったのは残念ですね。最後の発表にこっそり父親が来るシーンは先生と父親とのやりとりや機微がとても逸脱だったんですがね。そして、子供を取り巻く問題−学校や親や環境−の取り上げもあっさりしていたかな。しかし、「僕らの7日間戦争」みたいにあまり表に出すのもせっかくの綺麗なお話や美しい郷土の風景の雰囲気を壊してしまうのもあるし、あまり取り上げるのに抵抗感を覚える人もいるだろうと思われるのでここら辺はあっさり目にしといてよかったと思います。とここまで原作ばかり褒めてきたのですが上記で例えたようにそれぞれの良さがあります。映画はあっさりしてるだけに展開のテンポが良いですし、原作の少し人間的な泥臭ささに馴染めない人にはこっちのほうがいいと思います。そして、やはり郷土の美しさを撮影しているところ−棚田や白壁の城下町など−はとても素晴らしいです。やはり言葉では伝えきれないですからね。特に、棚田の水面が輝いている場面はとても美しいです。そして、俳優陣もいい人ばかりですしね。小澤さんは自分が原作で思い描いていたイメージにほんとぴったりでした。