一期一会

知り合いの小説家志望クンが、弱気になってこんなことを言った。
「追い求めて叶うか叶わないかわからないのが夢。それをめざして必ず着くのが目標かな」。
ぼくは「違うよ」と、いい直した。
「叶うと信じて突き進むのが夢。そこへの一里塚が目標でしょう」



朝日新聞「TVこのセリフ」欄から引用(磯村完)

30分と短く、駆け足な展開ながらも、詰まった内容でおもしろかった.内容は安定を求め、一流大学
に進学するイチゴさんと夢を追いかけるイチエさんこと中西里菜ちゃんとの交流のドキュメント.
個人的に印象に残った場面はダンス練習の部屋で将来について交わされる対話の場面と番組最後
の場面となる楽屋の模様.まず、ダンス練習の部屋で交わされた場面について.これは目指す方向
性があまりに隔たっているためか対話自体は、そんなにかみ合っていないような印象を受ける.でも
テーマはとても興味深い.普段、アイドルに「成功せずに、失敗したらどうする」とか「将来の安定
性について」などの質問や疑問に、生の声でそれに対して答えるということは、めったにある機会で
はないと思うから.正反対の人物を会わせる番組のコンセプトならではだね.彼女達がどういう風に
思い、考えているのかとても興味津々だった.イチゴさんは「先のことをあまり考えておらず、成功
だけを考えて、失敗したらのことを考えてない」と感想のコメントしていたが、自分は淡々と冷静に
喋り、結構しっかりしているなぁと思った.というのも、カメラの前だし教科書的な答えが返って
くるかと思いきや、みんな自分の言葉でしっかりと喋っていたからだ.内容的にも将来について楽観
的というよりは、不安や失敗のことも考えているが、強い信念を持って今やりたいことが出来ている
状況なので頑張っているという印象を受けた.一見、楽観的ではあるけど、それは不安の裏返しもあ
ると思うけどね.どうしても不安は付きまとう職業.といって不安ばかりを考えていては成功どころ
か活動も出来ない職業.その不安を打ち消すような楽観さや強い信念はどうしても必要な資質じゃな
いかなと思う.そういったことからもう彼女達は立派なアイドルなんだなぁと強く感じられた場面
だった.次に、楽屋での場面について.ここの場面を漫然とただ見ていたら矢沢永吉さんのある言葉
を思い出した.ライブハウスを巡るツアー「Roots」について、なぜライブハウスなのかに対する言葉
.撮影で行ったロンドンのライブハウスの楽屋にある「甘酸っぱい」匂いを感じたのがきっかけとい
う.それは昔のヤマト時代にも感じ、ニューヨークの楽屋にも感じられた匂いだったそうだ.そして、
その匂いを「いまにチャンス掴んでやる」、「俺は有名になりたいんだ」という叫びの匂いなんだと
言った言葉がAKB48の楽屋にはとても当てはまるように思えた.汗を流し充実感を浮かべる彼女達
の表情や多くの人が入り乱れ、騒然とした楽屋にどこかアジアの屋台市を思わせるような熱気を感じ
、画面越しにそのような匂いが芳しく伝わって来るように自分は感じられた.この中から成功する人
が出てくるのではという気持ちを駆り立てる場面でとても印象深かった.
最後に、この番組を見てえれぴょんを見たい!という気持ちが強くなりましたね.